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著作 (金融政策と為替)

ERC著作。

先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

ERCブログ

米国の雇用格差を示す「新型雇用指数」開発に取り組むFRB  -1月は+4.9pt ‐


まぁ随分前より、世間で注目されるBLSの雇用情勢を(当ブログで)真面目にリポートしなくなったのは、昨年3月にNY連銀が雇用情勢の「たるみ」を検証するが為、8つの雇用インディケーターを検証し始めた 事がキッカケとなったのは間違いない。あの頃よりFED議長本人はBLS統計に多くを語らなくなっていた。(語っているのは市場関係者だけ)


先週末に1月民間雇用者数や失業率が相変わらず大々的に報道されていたが(NFP20数万人とか5.7%とか)、率直に言って周回遅れ極まりなく、良い数字が出てきたとしても、市場参加者の期待とは裏腹にFEDの行動に、それらが直接的影響を及ぼすとは言い難い。それに関しては、当ブログの閲覧者の方々であれば薄々感じていた事と思われる。


「連月で民間雇用者数が30万人を超えれば、利上げなのか?(実は)自信が持てない」てな感じの投資家がほとんどだろう。この事に関しては、ウォッチャーであれば周知の事、と明言しても差し支えない。


昨年3月にNY連銀が8つの雇用インディケーターを労働市場の包括評価に用いた(または用いようとした)のは「雇用のたるみ分析」の第一歩であったが、その後、有耶無耶的に終始した。当ブログにおいても冒頭リンクの中で、「8つのツールをどのようにステートメントにまとめるのか、大きなポイントとなる事だろう。」と記載させて頂いたのは記憶に新しい。そしてその後、あやふやなまま、その後2ヵ月経過したあたりでFRB自身から労働情勢指数、LMCI (the labor market conditions index )の概要が発表される事になった。昨年来ERCリポートでは、出口ツール同様、LMCIをフォーカスしてきたが、未だ利上げに関し、決定的な軌道とはなり得ていない。


今回の「ベタな」BLS雇用統計にて早期利上げを吹聴する浅はかな評論家には注意が必要だ。FEDは(みなが思っているほど)BLSの雇用情勢を大きな利上げファクターとは(昨年から)捉えていないし、少なくとも自分の目にはそう映ってきた。平均時給に関してもそうだ。


当ブログでは昨年7月(25日)エントリー の時点で、「イエレンのダッシュボードなど8、9のツールが世間では注目されているが、実際どのように比較評価されているのかは不透明だ。実際には15以上の複数の雇用ツールがモニターされているのは確実」と明記していたのは、その直前、7月10日のエントリー(先走る市場とFRBのグラジュアリズム )にて、以下のように記載していた事でお分かり頂けるかと思う。以下、昨年7月10日エントリーより重要箇所抜粋。


BLS公表の5月「JOLTS 」(Job Openings and Labor Turnover Survey)の発表があった。BLSの一部局(雇用失業統計室)のうち、JOLTSに関しては行政統計労働移動課(DASLT)配下の求人労働移動調査統計室が調査主体となっており、失業率を労働供給統計と位置付けた場合、JOLTSは労働不足を示す統計という位置付けになる。つまり、JOLTSは労働市場における「雇用ギャップ」を探る上で、失業率とともに重要な統計という事になる。


ただ、JOLTSが発表されても市場参加者は、具体的な評価アプローチがFRBから発表されていないが為、その数字をどう解釈していいのか分からない。「良かった」「悪かった」で終わってしまう。(以上7月10日エントリー)

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つまり、NY連銀が発案したような「JOLS」ではあったが、(当時の想定通り)市場はどう評価していいのか分からなかった。理由としては、求人数(the Job Openings)や労働市場調査(Labor Turnover Survey)が、他の労働市場調査より遅行する事が挙げられるからだ。


で、昨年採用された19の指標(FRBのLMCI)を大まかに列挙すれば以下。


失業率・労働参加率・経済的理由を背景としたパートタイム・民間セクターの雇用・政府セクターの雇用・臨時雇用・週平均労働時間(製造業)・週平均労働時間・平均時給(製造業)・複合求人数・雇用率・失業から雇用への移行率・被保険者の失業率・解雇率・5週以下の失業者数・職探し困難(CB = Conference Board発表)・雇用計画・職探し困難(NFIB = National Federation of Independent Business発表)

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このあたりを説明すると長くなるので、これらを指数化したものがFRB発表の雇用情勢指数という事であり、BLSの雇用情勢よりは「たるみ」を表している、という事になっている。新しい指標ではあるものの、過去に遡及して算出発表されている事も見逃せない。構成等を表したグラフは以下。



で、1月の数値はそのBLS発表の雇用モメンタムを綺麗に否定するような内容となっていた。発表日は基本的に、毎月の雇用情勢発表の翌営業日(第2月曜)という事になる。


先日9日にFRBが発表した1月の当指標は、4.9ポイント上昇、12月は速報値が6.1だったが、7.3ポイントに上方修正されている。この数値からも分かるように、「たるみ」を考慮したFRB独自の当指標は、BLS統計のものとは一線を画している。


ERCレポートでは昨年10月からレポートしている当指標ではあるが、まだムラがあり当指標も利上げに直結する事は考えにくい。ただいえるのは、BLSの雇用情勢がFRBの行動に直接的効果を与えるとは考えにくい、という事。「格差不満」が昨年の米中間選挙に反映されている事でも分かるように、現在の雇用情勢はそんな単純な問題ではないという事。 FRB、とりわけイエレン議長は「格差」を示す雇用指標を長らく欲している事が分かる。



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