オフィス概要

■ eリサーチ&コンサルティング

・業務内容 金融シンクタンク   

 業務:国際経済・金融市場分  

 析および情報発信。

・所在地 〒812-0046 福岡市      

 博多区吉塚本町9-15 

 福岡県中小企業振興センター  

 5F 

著作 (金融政策と為替)

ERC著作。

先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

ERCブログ

失業率とインフレのフリーフォールの中にあるFRB -後ずさりする利上げ-


利上げに関するイベントとしては、目先、イエレンの議会証言(24日、25日)がある。そして3月FOMC声明後の記者会見。12月会合で「時間軸」は、忍耐強くという言葉に修正された。そしてこの言葉が時間軸を示す最後の言葉になるものと思われる。


この言葉が削除 されれば利上げのサイン。もう修正・変更はないものと思われる。


ただし、削除されても直後に利上げではない、という理事までも現れた。それだけ利上げは難しい、という事になっている。(そういう意味で削除も難しい、と取れる) その理由としては、軟調な原油相場も大きく関係しているが、NAIRU(自然失業率)がどの水準にあるのか分からない、といった事がFRB内では問題になっている模様。今月の議会証言と3月議長会見では、ここの辺りに関する発言が注目される事になる。


もうお忘れになった方もいるかも知れないが、以前の時間軸、フォワードガイダンスの失業数値では「6.5%」がターゲットになっていたが、今現在は5.7%、12月FOMCでは5.2-5.5%に見通された。つまり実際の数値はどんどん低くなっていて、目標値も当初のもの(6.5%)から大きくかい離する結果になっている。



当初の時間軸(目標値)「6.5%」を大きく下回っても、今やそれが大きく取り沙汰される事はなくなった。インフレが低過ぎる事で、目標失業値を高らかに言明する事ができなくなったとも言えるのだが、この事に関し、リセッション前と後とで、雇用環境が変化し、パートタイマーの雇用率が、依然としてリセッション前より上振れている事も関係視・問題視されている。(上図) 以下Bloombergから。


パウエルFRB理事:利上げ時期は辛抱強いという表現が適切


パウエル理事はインフレ率が低過ぎる状態が続いており、雇用拡大が賃金上昇に波及するには至っていないと指摘。「賃金は労働市場の逼迫(ひっぱく)を示しておらず、自然失業率が考えられているよりも低い可能性をむしろ示唆する傾向にある」と述べた。 (Bloomberg)

--------------------------------------------------


パウエル理事によれば、5.7%水準はNAIRUを示していない事になる。1月米雇用情勢によれば、平均時給は前月比0.5%増、前年比では2.2%の増加となっており、過去1年間では大きな上昇ペースであるものの、過去の好況時と比較し依然として低水準に位置している。


このペースが加速すればFRBが目途とする失業値は見えてくるだろうが、(賃金)上昇ペースが伸び悩めば構造的な雇用環境の変化、賃金調整の困難性・低インフレの構造化を認めざるを得なくなる。少なくとも、循環的なものでない事をFRBは認めざるを得なくなる、という事になるのだが、FRBは依然として金融政策の拡張的効果を誇示しなくてはいけない立場にある。


実際には、構造的な労働変化を大規模な拡張的政策(QE)によってFRBは「巻き戻し」させようとした。ただ、雇用環境をみれば循環的失業である、と言明するのは難しい。FRBは金融危機による大幅な景気後退に果敢に挑んだが、今難局に直面しているように見える。すなわち、順風満帆にみえる利上げ局面も、見方によっては逆風にさらされているように見える、という事。簡単ではない。個人的見解では「まだ時期すら明言するのは難しい」という事になる。時期を明言してきた多くの専門家たちもこっそり「後ずさり」しているのは明らか。


自分は多くの根拠から「難しい」を繰り返している。(つもり)



                          ブログ:ニューノーマルの理(ことわり)から