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著作 (金融政策と為替)

ERC著作。

先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

ERCブログ

「ギリシャと米国のイグジット」 -ユーロ相場について-

 

イエレンの議会証言では、利上げにつき、お決まりの「経済動向によって」が強調される事になり、1月FOMCに記された国際情勢についても配慮する言葉を残すかも知れない。


原油低価格からの低インフレ、そして少々前に言及した事ではあるが、FRB内で、失業率低下の許容限度 (NAIRU)についての言葉もちょっとした注目を集める事になるだろう。(新しい報道材料の可能性)


インフレ2%が厳格的ルールでない、といったニュアンスが市場に漂い始めた今(原油市場が公然とエクスキューズにされている)、市場は数値的手掛かりとして、インフレ(数値)に変わる「数値材料」を欲しているのは明らか。しかし矛盾するようではあるが、失業率の低下許容度については「FRB内でも議論になっている」、程度の事しか言及しないものと思われる。すなわち、今回も利上げに時期につき煙に巻かれる事になるだろう。米国の利上げ論争はちょっとした「謎」に包まれつつある。市場は静か、騒いでいるのはメディアだけだ。


グレグジット喧騒とユーロ相場


ギリシャについても「どうせ妥結 」と冷ややかな視点で観てきた事もあり、特に書く事もなかった。これは多くの市場参加者が見通していた事でもあった。先日、ユーロ圏からギリシャへの金融支援が延長されたが、これは暫定合意ではあるものの、妥結と称するのは決して間違いではない。ギリシャの場合は常に合意というわけではなく、厳密に言えば妥結の連鎖だからだ。(どうでもいいかも知れないが)


重要なのはユーロ相場の行方であり、グレグジットとかパリティとか騒いでいたジャーナリストの喧騒とは裏腹に、ユーロ相場(対ドル)の値動きは(反緊縮の)急進左派連合が1月25日の選挙で勝利したのちは(報道に反し)下落が進む事はなく、むしろ落ち着いていた。これは市場と(話題を作りたがる)評論家たちの間に「体感温度差」がある事の証左だといえる。(良い事だ)


当ブログでは、QEが発表(1月22日)されたのちは、一段下落するが急落無く (1月20日)、「(QEが)寒いのでパリティはない (同23日)、あったとしてもまだ先」、とさせて頂いた。



閲覧者の方であれば、これらの根拠をほぼご理解できると思うのだが、ユーロ下落における時事的ポイントを挙げるとすれば①9月5日、②1月25日、③2月6日、といったところになる。


①9月5日の政策発表にてECBはユーロ下落バッファーを築き上げ 、そこにほぼ(論拠的に)到達したのが③2月6日。 上記①~③の中では、日時的に2番目に当たる1月25日ギリシャ選挙(以降)は、優先順位でいえば3番手、というか実質的にはほぼユーロの値動きには無関係だった。理由としては「反緊縮政権が誕生してもどうせ妥結(暫定合意)」と見通していた市場参加者が多勢を占めていた、という事が挙げられるだろう。底値は1月下旬だが、論拠的下落到達点がなぜ2月6日か?意地悪なようだが、ここでは敢えて閲覧者の方々にご賢察願いたいと思う。(その日に何かが発表されたわけではない)


で、ユーロ相場の視点から見て優先順位が低いとさせて頂いたグレグジット問題(政治問題)だが、7月にギリシャの国債大量償還が控えている事を考えると、今回暫定合意した延長期限の6月に、第3次救済プログラムを巡り、再度ゴタゴタが起こる事になる。



この時にも、ギリシャの反緊縮政権がユーロ圏への抵抗を見せる事が想定されるがパフォーマンス的レベルに終始し、次回もECB、というかドイツに屈する事になるだろう、ただ預金の流出が今現在加速しており、今年に入って250億ユーロ引き出された(2月第3週)という報道が出ている。ELAの上限額は現在683億ユーロ、ギリシャ国内の預金流出の大きさを考えれば、数十億ユーロの「刻み拡大」では追いつかず、ELA枠の大きさを巡ってECB内で対立が起こる可能性が残されている。



今月4日にOMO(上図、ECB)からはじき出されたギリシャ国債(11日実施)だが、だがしかし、過去がそうであったように、担保特例措置が再認可されずとも、ELA拡大は今後も承認される見通し。 なぜなら、名目上「各国中銀の責任の下で」となっているELAだが、実質的にはユーロシステムのバランスシートも毀損する仕組みとなっており、 、市場向けには 「いつでも(ギリシャを)突き放せる」といったようなイニシアチブを取っているように見せかけるユーロ圏(ECB)だが、実際には承認せざるを得ない背景がある。

「ドイツ高官がギリシャ離脱を容認する発言」という報道もよく目にするが、ELAが拡大した2012年にも同様の報道はよく見掛けた。(絶対に離脱しない、といっているわけではないが)


つまり、何だかんだでグレグジット問題によってユーロ相場が急落する事は考えにくいように思えるのだが、上記(国債償還前の)6月は、今回よりも(3次救済プログラムの件で)もっと紛糾する事になるだろう。そのとき、米国は利上げ論争まっしぐら。ユーロ相場が再度下落基調に陥るとすればその前後だと考えるのは妥当かも知れない。


ドル(円)相場、ユーロ(ドル)相場は比較的落ち着いた値動き。今後も米国からの「(利上げに関する)サプライズ」は、可能性としては当然否定できないが、現況においては、市場参加者は冷静であるように思える。

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