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■ eリサーチ&インベストメント

 

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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

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様子見姿勢が求められる3月FOMC

ECBのラガルドは16日、ECB理事会後の記者会見で「物価の安定と金融システムの安定は別々の政策手段で対処するもの」とし、今後もインフレ対応に関し金利政策で対処するという姿勢をアピールしたが、22日のFOMC後の議長会見では、それと同じような発言をしてしまうと(パウエル)マーケットにはマイナスに作用する。

 

そもそも今回のクレディスイス問題を中心とした欧州における金融不安と米国での中小金融機関における金融不安は問題の根底がまったく違っている。

 

明日(米東部)22日のFOMCでは25bpの利上げが公表され、政策金利の誘導目標は4.75-5.0となることが想定されている。ECB総裁のようにFRB議長が「今後もインフレ対応として政策金利を引き上げていく」という姿勢をアピールすれば、債券運用を柱としている銀行がマーケットから狙い撃ちにされることだろう。よって明日は政策金利を引き上げたとしても、「ここで終わる」「ここで一旦様子見する」といった可能性を発信することが求められる。

 

米国の場合は、インフレ対応と金融不安対応が金利政策といった手段に絞られており、前者は金利引き上げで対処、後者は金利引き下げ、若しくは引き上げ停止、という、ある種矛盾した対応になる。議長(パウエル)がその狭間で苦慮していることが想定される。今月はじめには2月雇用統計の結果から、インフレ懸念が再燃し金利引き上げを仄めかしたばかりである。僅か2週間ほどで180度違った発言をすることも中銀の信認を落すことになりかねない、とある種の葛藤が生まれるのは仕方がない。

 

結果、政策金利を引き上げようとそうでなかろうと、様子見姿勢を強調することが荒波を乗り切る唯一の手段だと考えられる。ECBのラガルドとて、20日の欧州議会では16日の発言から一歩後退する姿勢をみせた。

 

これは余談になるが、米国で5%以上の金利がつけばVC投資は後退する。ベンチャーは資金調達がますます困難になり米国経済の成長自体に波及する。利上げ局面のさ中、改めて企業の資金調達と企業業績、国家の経済成長がリンクしていることがクローズアップされれば、社会認識として有意義なことかもしれない。