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■ eリサーチ&インベストメント

 

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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

3月FOMC前夜

米国を除く世界各国では、利下げやQE、または為替介入によって通貨安を演出。そんな中、FOMC前夜である本日、NYは株安スタートかと思いきや反発で始まっており、その背景としては、NY連銀の製造業景況感サーベイ、鉱工業生産指数、設備稼働率、そして住宅市場指数など、マクロ指標がこぞって市場予想を下回る結果となった事がその理由として挙げられる。つまるところ、マクロが弱いがため、3月FOMC声明文には「can be patient」が記載されたまま、という思惑買いから株高スタートになった事になる。


ただ、本日発表されたマクロの数々のソースを観ればFRB作成のものがメインになる。NY連銀の景況感はもとより、鉱工業生産指数・設備稼働率もともに、各産業やセンサス局等からデータが収集されるものの、作成・公表するのはFRBであり、こぞって落ち込むところを観れば、忍耐強くいられるという文言自体、FRBは維持したいのではないか、と(個人的に)勘ぐりたくなる。


FOMCのメンバーは、そのほとんどが今年半ばでの利上げを期待している、と言われるようになったこの頃だが、ドル高からの企業業績悪化をはじめとして、新興国からの資金引き揚げによるリスクオフ懸念も渦巻いている。何より、1月FOMCでは「国際情勢」という利上げ後退を正当化するエクスキューズが補完されたような形になった。文言維持となっても削除となっても、明日は「利上げの時期は決まっていない」という事が強調される事になるだろう。


問題は(まだ先の話だが)利上げ後の利上げペースになる。「緩やかな利上げ」というのがメジャーな意見だが、長期金利の寝ている状態が長期化すれば、予想に反して連続的な利上げを敢行する可能性だって否めない。利上げによる通貨高(ドル高)とは裏腹に米国内は緩和状態が続く事になるからだ。これについては以前のエントリーでも言及した。(グリーンスパンのいう謎、といった現象の再来だ)


今月11日に実施された10年ノートオークションは、ユーロ圏の利回りがこぞって下落する中、歩調を合わせるかのように強い内容になった。「欧州のQEによって米国のTノートが買われる」とも以前にお伝えしていたが、その「強い内容」を演出したのは海外中銀含む間接入札者の需要が高かった事が挙げられる。依然として米国とドイツの10年スプレッドは2%近い状態であり(1.8水準)、ユーロ安がそれに輪を掛け、間接入札者(海外勢)の米国債への需要は高まっている状況だといえる。


NY原油先物も米国の長期金利低下と歩調を合わせるかのように43ドルを割り込んだ。エクソンモービルやシェブロン等の石油メジャーの株価は先月から下落基調が止まらない。 何がいいたいのかよく分からないかも知れないが、明日「can be patient」を維持しようがしまいが、早期利上げは「得るもの少なく損失大」、のように思えて仕方がない、という事。遅れる分には利上げペースを高めれば良いが、早期の利上げは企業業績悪化に加え、(海外勢の米国債需要の高まりから)どっちにしろ長期金利は寝たままなのではないか、という懸念が残る。(ように思える)