■ eリサーチ&インベストメント
・業務内容:レポート発行・セミナーなどの実施
・株式市場・ドル円市場などマーケット概況の分析・情報発信。
2019年3月4日発売。
eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)
先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。
中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、イギリスが参加表明したと思いきや、一気にドイツ・イタリア・フランスも参加表明したなんていう報道が流れている。
「日本外し」、なんていう報道もあるけど、厳密にはそれは違っていて、ただ単に、(中国の)世界秩序への挑戦であり、日本を外す、なんて事は念頭にないように思えなくもない。今回の投資銀行計画にアジアの新興国は喜んでいる、という報道が流れる一方で、中国が議決権シェアを50%以上確保しているという事で、日米は国際金融における中国の弾頭を懸念している。 問題は環境保護に配慮した投資が実施されるのか、はたまた運営ガバナンスとそのビジョンを中国がどのように描いているという事で、先々の混乱リスクも予想される。言ってしまえば中国がリードするとなれば腐敗・汚職の懸念も大きい。
ただいえるのは、中国がアジアで国際金融を通じたプレゼンスを確保し、陸上・海上と政治的・経済的に支配していくという意図は明白だといえる、という事。不況の欧米はそのような不透明感が残る中国の野望というかプロジェクトに浅はかに乗っかった印象すら受ける。
しかし既存のブレトンウッズ機関であるIMFに至ってはコンディショナリティを押し付ける短期緊縮プログラム(主にはSBA)はほとんど変化してこなかったし、そもそもの目的は各国の経常収支の均衡達成が目的となっている。世銀(IBRD・IDA)にしても名目上、インフラ開発などは担当業務ではあるものの1999年にCDFの提案をしてからは、政策融資機能が拡充し、今回の中国主導のAIIBのように新興国へのインフラ投資という明確な業務とは一線を画している。
第一、IMFや世銀など既存のブレトンウッズ機関は最大の出資国である米国が絶対的な拒否権を保持しており、繰り返すようにAIIBは中国が議決権を半分以上確保する事になる。新興国へのインフラ投資という業務は、世間の論調とは違ってIMFや世銀とは役割が違うし、何より国際経済への貢献という大義名分すら保有する事になる。そのような有意義な国策を通じての(アジアでの)プレゼンス拡大は、今までのような「力」での支配とは一線を画しており、国際貢献という大義名分の下、世界各国から歓迎されている。よってドイツイギリスなどのG7などの先進国も参加を表明した事になる。 (ガバナンスは不透明だが)
中国は今回のプロジェクトに日本参加を拒んでいないが、日本は米国の「下部(しもべ)」であり、67ヵ国からなるADB(アジア開発銀行)をリードする国でもある。中国の国際金融を通じたプレゼンス拡大に米日は、というか米国は猛烈に反対姿勢だが、繰り返すように既存の機関の業務を見てみれば、IMFはコンディショナリティ押し付けのインターナショナルファンドであり、世銀は貧困削減のための融資機関という位置付け。(日本人がトップを務める)ADBにしても同じような機関であり、今回の、中国主導の機関はアジアインフラの拡大という明白な目的に特化しており、何よりアジア新興国に歓迎されている。
日本は中国から今回のプロジェクトへの参加を疎外されていないが、(日本は)米国の顔色を窺うあまり判断が遅れるかも知れない。慎重さを期すのは重要な事だが、歴史的にも日本は、米国の顔色を窺うあまり、時流に乗れなかった事は数知れず。(プラザ合意など) 韓国もこの流れに追随したいかも知れないが、状況的に難しいかも知れない。そんな中、安倍政権はどういう判断をするのだろうか。