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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

2016年、FRBの利上げは逆風に晒される

「ペトロ」の連呼でしつこいと思われているのは承知の上だが(Petroleum)、1年前の記事 まとめは以下(ブログ・ニューノーマルの理、ペトロリスク2から)。

 

原油下落→インフレ率低迷とともにエネルギー株下落→米株・日本株低迷→やや円高→米利上げ後退→円安抑制 といった流れか。  (2015年1月13日記事)

 

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で、昨年一年通してみると以下。WTI原油先物とダウ・ドル円チャート。

 

 

 

ここ最近になって、(ようやく)原油相場が金融市場全体に波及する、という記事が多く見られるようになった。上記3つのチャートは、多くの論理を重ねた結果に過ぎない。 

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昨年、年間通して強調してきたのは製造業の指数低迷と非農業部門就業者数の低位安定化。そして「悪い利上げ」について。04年6月からのFRB連続利上げと今回の利上げは背景が全く異なる。

 

今現在FRBのバランスシートは肥大化したまま、巨大な超過準備が存在している以上、FOMCのアナウンスメント効果によって誘導目標を実現する事は難しい。(以下FFレート)

 

 

当ブログではFFレート0.35%目標について言及 してきたわけだが、FRBが25bps引き上げ(利上げ、0.50%目標)を公表した後でもFFレートは実際には0.35%前後をさまよっている事が確認できる。(以下はFRBトータル資産)

 

 

FRBの声明については、利上げのみが誇張され、米国債とMBSの償還分の再投資 、すなわちバランスシートの規模を維持する緩和政策については大きく報道される事はない。そういう意味では(11年秋からの)オペレーションツイストにちょっと似ている。緩和政策は続いているわけです。

 

とまあ、細かい事は置いといて、 、

 

今年は多くの方が予想するように、FRBによる利上げは「2回以内」、といったセンは鉄板だといえる。というか2度引き上げるという事は誘導目標は1.0%という事になり、仮に2度引き上げるような声明を出せば、今度は引き下げざるを得ない事になるだろう。以前言及した「ドラギの蹉跌 」、といったところ。そういう意味で実質上は「1度」。2度目が仮にあるとすれば今年の末、12月を予想する。

 

バランスシートが肥大化している以上、FFレートは誘導目標を下回る水準にとどまる事が予想され、04年、05年のように引き上げる事は、リバースレポレートやIOERレートを引き上げる事を含めて難しいし、それも不可能。 特に製造業における様々な数字が連続的な利上げを阻止する事になるだろう。 (日銀の政策含め)ドル円はそんなに上がらないしNY株も(前回、04年からの利上げ時のような)強気相場は無いとみる。

 

一過性の不確実性が顕在化すれば短期的にはドル円レートは116円水準を突く可能性あり、(当然ながら)その水準が長期化するような事になれば上にいく事は難儀である事必須、

 

しかし矛盾するように聞こえるかも知れないが、そこまで沈下しなければ昨年の高値超えの可能性も残される。どちらにせよレンジは「10円以内」がコアだといえる。

 

つまり利上げにしてもドル円にしてもベタな予想をしている、という事です。昨年同様の展開といったイメージ、NY株の強気相場も想像しがたい。今年もよろしく。

 

                           (2015・1・4 /ニューノーマルの理から)