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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

1月FOMC前夜 ‐反転の兆し掴めない日米株価‐

下図は2015年1月からのNYダウと日経平均の相関チャート図。 この期間、2度のクラッシュで相場は頭を叩かれ、沈下した事が分かる。

 

 

1度目と2度目の違いを簡素にいえば、1度目(チャイナショック)は過度な悲観が相場を下落させたのに対し、今回2度目は、そうとはいえない下落である事を感じ取る事ができる。下落の期間がそれを表しており、特に今回の日経平均下落に至っては昨年12月初頭、2万円水準(枠外)から徐々に切り下げている。これは昨年のチャイナショックとは一線を画した着実な下落だと捉える事もできる。

 

下げ期間の違いは今後の反発力の弱さを示しているようにも見え、 先週末は大幅反発で底打ち感が広がり、今現在先物は17200円台まで回復しているものの(執筆途中、25日午前6時時点)、昨年チャイナショック後の(3000円もの)回復は考えられない状況となっている。つまり一度16000円水準まで落ちた日経平均は、目先を見ても19000円回復は考えられない。少なくとも、現時点ではそういう風に感じる。

 

昨年の同時期は、ちょうど2月に差し掛かる頃から(日本の)通期決算の発表に向けて上昇相場が続き、その後もその水準、2万円超で推移している事が分かる。(上図)

 

つまり前年同期は、現在の水準(17000円)であったにも関わらず、その後21000円弱まで堅調に上昇しており、これをアノマリーとして、再現シナリオを期待している向きもあるかも知れない。 同時期のドル円レートにしても、やはり120円を割り込んだところから、(昨年)5月のイエレン「年内利上げ発言」に向けて125.5円を抜けるところまで到達しており、それも日経強気相場の根拠となっている。

 

しかし今回は、そこ(2月)に差し掛かるまでの経緯が昨年とは全く異なっており、今後のイベントを確認すれば、強い反発が仮にあったとしてもテクニカル的なものに限定される様相を呈している。

 

 

探る事ができない本格反転の兆し

 

今週、米国では①FOMC、②第4四半期GDPの2大イベントを中心に、数多くのメジャー指標が発表されるが、どれも本格反発のキッカケとは成り得ない。来月の③イエレン議会証言に期待する向きもあるが、イエレン議長は「3月利上げ」を示唆する事ができないばかりか、見送りすら示唆する事もできないだろう。

 

現状を踏まえれば、利上げを示唆する事は一段のブレーキに繋がる。実際には見送り示唆、といきたいところだが、「年4度」をシナリオとしていたFRBの信認が年初より早々と揺らぐ事になる、と考える事だろう。今週のFOMCは、そんな2月証言の概略に過ぎず、今週末発表のQ4の米経済成長率にしても期待どころか懸念が高まっている。まさかの上振れがあったとしても、それはそれで利上げに繋がる、と見做され、昨年12月の利上げ後の経緯を踏まえれば、現状の利上げは「悪い利上げ」と見做される事になる。(参照:原油安を過小評価する悪い利上げ )  結局のところ3つのイベントすら本格上昇の手掛かりとは成り得ないように思えて仕方がない。

 

2月のイエレン証言は10日・11日と下院・上院の順で行われるが、3月利上げを示唆できない(ブレーキ)根拠の1つとして、今現在囁かれている、エネルギー関連企業への銀行融資の見直しが実施される事が大きい。(ように感じる)

 

テールリスクを残す原油価格の下落

 

昨年よりお伝えしている 事でもあるが、米銀は原油暴落を受け、エネルギー関連企業に返済計画の見直し圧力を強めており、銀行監督当局も今回の与信枠の見直しについて強い圧力を掛けている事が各媒体から伝わってくる。

 

今までエネルギー企業が低利で資金調達し、大規模な自社株買いによって株価上昇を演出してきた事にも度々言及してきたが、今回の与信枠の再検証において各エネルギー企業には自社株買いどころか増資、つまり株式発行によって資金調達する事が求められる事になる。

 

少なくとも銀行側はエネルギーセクターに対しそれを求めているし、そのような背景が何をもたらすかと言えば、一株利益の増加ではなく減少という事であり、株価下落とまで言い切る事はできないが、株価上昇の足を引っ張る事は明白だといえる。そのような背景もあり、イエレン議長は利上げを示唆する事はできないだろう。繰り返しになるが、今週のFOMCはその概略に過ぎない。

 

日米の株価指数は同じところを主たる停滞要因としており、懸念が払拭される見通しを立てる事は今のところ難しい。日銀がサプライズ的な事を実施する可能性は今週のみならず、4月に掛けて燻っているが、(緩和)実施のタイミングを間違えると一過性の円安株高に留まる事だろう。