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■ eリサーチ&インベストメント

 

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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

ドル円レートは110円を割り込む場面

節目とされているドル円レート110円を割り込んだことで、ドルの下振れが鮮明になった印象が与えられている。

 

日米2年債の実質金利差が、外国為替市場の主要テーマとしてスポットを浴びており、周知のとおり、米国の名目金利は今年に入って低下傾向にある。最悪期だった2月11日前後より改善しているが、その不安定な兆候には米系ヘッジファンドの介入も挙げられる。

 

米追加利上げ後ずれ観測で、名目金利は低下傾向、しかし実質金利を図る上での米インフレ指標は上昇傾向にあり、実質金利はマイナス幅が拡大傾向となっている。ドル円基準でいえば、一方の日本国内における名目金利は日銀のマイナス金利政策でストンと落ちたものの、期待インフレ率が低下した事でマイナス幅は拡大していない。

 

結果として名目金利差以上に実質金利差が縮小し(端的に云えば日米の期待インフレ率の違いがもたらした)、これが市場の関心を集めているが、これはただ単に、米利上げ後ずれ、といった展望からくる材料の1側面に過ぎないと考える事もできる。

 

4月1日に発表された日銀の短観では3月企業調査での、新年度予想為替レートは117円台半ば、そして現スポットレートはそれよりも5円高という「ギャップ」が目に付いた。この事も手伝い日経平均は「消沈下落」となったが、これらの要素、そして4月8日(金)に公表される日本の国際収支統計も、貿易収支・経常収支ともに黒字計上が厚みを増す事が予想されており、円高要因という事もできる。

 

さらには、市場に影響を及ぼす今月の重要な米統計は、4月半ば・そして下旬に数点集中しており、手枷・足枷状態となっている政府日銀の様相(G20による通貨安競争回避声明)を尻目に、注目されているものがあるが、それらに期待はされていない。利上げを後押しするようなものは出てこない。すべてが円高を後押ししている状況だが、これらの起発点は米商務省が先月28日に発表した個人消費支出1月改定分、一発であると考えている。今、こういう状況に陥ったので言及しているわけではなく、リンクにあるように既にこの状況を予測していた。顧客の方であれば周知の通り。すべてはここから始まった。

 

米1月個人消費下方修正と、前述の「米国のインフレ指標が上昇している」という記載が矛盾する、と感じる(顧客以外の)方がいるかも知れないが、米国の実質金利を図るインフレ指標が米国の消費動向を実直に表していない、と考えており、商務省の発表する個人消費・物価関連指標は実直に表している。