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■ eリサーチ&インベストメント

 

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著作 (金融政策と為替)

2019年3月4日発売。

eリサーチ&インベストメント著作。(画像リンク)

 先進国における中央銀行の金融政策と外為市場の相関性を解説した基本書。

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SVB破綻によるFRBのテールリスク

米シリコンバレー銀行(SVB)の(スタートアップを中心とした)顧客の90%以上は、預金保護の上限が25万ドルにも関わらずそれを超える形で預金していた。

 

しかしSVBはFRBのアグレッシブな利上げ局面の中で、運用する証券価値の低下傾向が続き、10日に経営破綻、FDICの管理下に入った。これが市場の話題をさらう事になり、米財務省はシステミックリスクを防ぐため、預金保護の上限撤廃という異例の措置に踏み切った。

 

バイデン‐イエレン協議では、SVBの破綻処理に伴う損失が納税者の負担になることはないというアナウンスも付け加えられた。システミックリスクを防ぐ、というアピールを大々的に公表したことになる。これにより市場の混乱は一時抑制されることになったわけだが、 、

 

今回の件では、SVBが債券投資に大きく偏っていたということ、またスタートアップが多くの顧客だったために生じた固有の事象であり、さらにはSNSによる情報の拡大も取り付け騒ぎに輪をかけた、ということになっている。

これにより「特定銀行による固有の状況が市場に拡大することは想定しにくい」という論調が広がったことも安心感を呼び込んだが一概にそうとはいえない。少なくとも利上げ局面においてこのような「火種」、「懸念材料」が残ることになった。(と個人的には認識)

 

なぜなら、多くの米銀は多額の資金をトレジャリーならびに他債券にて運用しているため、FRBによる利上げ局面によって、多かれ少なかれ同じような状況に置かれている銀行は多い。今後、今回のようなことが発生したとき、政府が常に救ってくれるだろうか? インフレ下の取り付け騒ぎ発生によって金利政策の柔軟さが問われることになった。